「ユークリッドの互除法で割り算を繰り返すのはわかる。でも、そこから元の式に戻す式変形が意味不明……」
一次不定方程式を解くとき、多くの高校生がここでつまずきます。
今回はその「式変形の迷子問題」を完全解決するため、ステップを極限まで細かく分解して解説します。
1.「何をゴールにしているか」を確認する
たとえば次のような問題。
$$\displaystyle 13x + 5y = 1$$
を満たす整数 $x, y$ を1組求めよ。
この問題の攻め方は次の2段階です。
- 互除法で「余りの式」を書き出す13と5で割り算を繰り返し、余りが「1」になるまで追い込む。
- 「余りの式」を逆流(代入)して組み立てる下から上へ代入して、無理やり $\displaystyle 13 \times \square + 5 \times \square = 1$ の形を作る。
迷子になる原因は100%後者の「逆流」です。理由は、代入の方向と「計算してはいけない場所」が直感に反しているから。順番に見ていきましょう。
2. 準備:余りの式を「パーツ」として書き出す
13と5で互除法を行います。このとき、横に必ず「余り = 〜」の式を書いてください。
これが後の代入で使う「交換パーツ」になります。
【割り算の記録】
- Step 1:$13 = 5 \times 2 + 3$ $\rightarrow$ $3 = 13 – 5 \times 2$ …①
- Step 2:$5 = 3 \times 1 + 2$ $\rightarrow$ $2 = 5 – 3 \times 1$ …②
- Step 3:$3 = 2 \times 1 + 1$ $\rightarrow$ $1 = 3 – 2 \times 1$ …③
3. 核心:「下から上へ」パーツをはめ込む
目標は、③の式の左辺にある「1」を主役にして、右辺にある $3$ や $2$ を、最終的に $13$ と $5$ だけで表すことです。
⚠️ 鉄の掟:絶対に掛け算の「答え」を計算しないこと!
たとえば $5 \times 2$ を「10」にしてはいけません。$13$ や $5$ という「文字」だと思って扱いましょう。
Step A:③に②を代入して「2」を消す
③式の右辺にある「2」を、②のパーツで置き換えます。
$$\displaystyle 1 = 3 – \mathbf{2} \times 1$$
$$\displaystyle 1 = 3 – \mathbf{(5 – 3 \times 1)} \times 1 \quad \leftarrow \text{2をパーツ②で置き換え}$$
$$\displaystyle 1 = 3 – 5 + 3 \times 1$$
$$\displaystyle 1 = 3 \times 2 – 5 \times 1$$
※ 「3が1個」と「3が1個」を足して「3が2個($3 \times 2$)」とまとめました。
Step B:①を代入して「3」を消す
今度は、残っている「3」を①のパーツで置き換えます。
$$\displaystyle 1 = \mathbf{3} \times 2 – 5 \times 1$$
$$\displaystyle 1 = \mathbf{(13 – 5 \times 2)} \times 2 – 5 \times 1 \quad \leftarrow \text{3をパーツ①で置き換え}$$
$$\displaystyle 1 = 13 \times 2 – 5 \times 4 – 5 \times 1$$
$$\displaystyle 1 = 13 \times 2 – 5 \times 5$$
最後に、元の形 $\displaystyle 13x + 5y = 1$ に合わせて整えます。
$$\displaystyle 13 \times 2 + 5 \times (-5) = 1$$
これで $x = 2, y = -5$ が求まりました!
4. 式変形で迷わないための「3つの鉄則」
| 項目 | ポイント |
| 鉄則1 | 余りの式をパーツ化する:必ず $余り = \dots$ の形に書き換えておく。 |
| 鉄則2 | 絶対に計算しない:$13 \times 2$ を $26$ にした瞬間、ゴールが消滅します。 |
| 鉄則3 | 係数をまとめる:$3 \times 2$ のように「〇〇が何個あるか」の形で整理する。 |
5. 一般解への拡張
1組の解(特殊解) $(x_0, y_0) = (2, -5)$ が求まれば、すべての整数解(一般解)も機械的に出せます。
$$\displaystyle 13x + 5y = 1 \quad \dots \text{(A)}$$
$$\displaystyle 13 \times 2 + 5 \times (-5) = 1 \quad \dots \text{(B)}$$
(A) – (B) を計算すると:
$$\displaystyle 13(x – 2) + 5(y + 5) = 0$$
$$\displaystyle 13(x – 2) = -5(y + 5)$$
13と5は互いに素なので、$x – 2$ は $5$ の倍数である必要があります。
整数 $n$ を用いて、
$$\displaystyle x – 2 = 5n \quad \rightarrow \quad x = 5n + 2$$
これを代入して $y$ を求めると、
$$\displaystyle 13(5n) = -5(y + 5)$$
$$\displaystyle 13n = -(y + 5) \quad \rightarrow \quad y = -13n – 5$$
📌 まとめ:手順チェックリスト
- 割り算を最後までやる(余り1が出るまで)
- 全ての式を $余り = \dots$ に書き直す
- 一番下の式から、上のパーツを順に代入する
- $13$ や $5$ は最後まで「文字」として守り抜く
- 最後に検算して 1 になれば勝利!
式変形の迷子は、「何を消そうとしているか」を見失うことで起きます。「今ある余りを、一個上のパーツで交換する」というゲームだと思えば、もう怖くありません!


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