はじめに

「無駄」のなかにこそ、最強の武器が潜んでいる。

「トリビア(Trivia)」という言葉を辞書で引くと、「瑣末(さまつ)なこと」「くだらない知識」といった意味が出てきます。

確かに、それらを知らなくても明日の生活に困ることはありません。しかし、私たち人間には、生存に直接関係のない「無駄なもの」にこそ強く惹かれ、心を動かされてしまう根源的な欲求が備わっています。図形の裏側に隠された法則や、数式の行間に潜むドラマを知ったとき、脳が「!」と震えるあの感覚。それは、人間が持つ最も純粋な知的好奇心の形です。

そして今、この「知的な遊び心」が、大学入試というシビアな戦いの場で決定的な差を生む時代になりました。

ここ数年の共通テストや大学入試の傾向を見ると、一昔前とは「全く別の試験」になったと言っても過言ではありません。少し前までは、公式を暗記し、与えられた数式をいかに速く計算するか――ただそれだけで高得点を取ることができました。

しかし、昨今の問題は「世の中の仕組みに潜んだ数学」を題材に、非常に巧妙な設定がなされています。

受験生が本番の試験会場で初めて「こんな仕組みがあるのか!」と驚き、戸惑う場面は、これからますます増えていくでしょう。そのとき、合否を分けるのは単なる計算力ではありません。「その仕組みを、トリビアとして面白がった経験があるか」という背景知識の差なのです。

そこで本サイトでは、入試対策という実利の意味を込めて、教科書には載っていないけれど、知れば誰かに話したくなるような「世の中に潜む数学」を取り上げていきます。

一見すると「無駄」に見える知識が、いざという時にあなたを救う最大の武器に変わる。そんな数学の面白さ、奥深さを、現役教師の視点から精一杯お届けします。

さあ、純粋な好奇心のままに、世の中の数学の世界をのぞいてみましょう!