【共通テスト数学】変数変換は公式暗記がカギ!証明と覚え方を完全解説
共通テスト(旧センター試験)でたびたび出題される「データの分析」における変数変換の問題。
まじめに計算をして求めていくと、とても試験時間内に終わるような計算量ではありません。出題者側も「公式を使って効率的に解くこと」を前提に問題を作成しています。
つまり、公式を暗記してしまった方が圧倒的に有利です。
この記事では、暗記すべき公式を整理し、なぜその公式が成り立つのかという「証明」もあわせて解説します。理屈を理解することで、暗記の定着度もグッと上がります。ぜひ最後までご覧ください。
変数変換の公式一覧
まずは結論から。以下の表を頭に入れておけば、変数変換の問題は怖くありません。
| 変数 | $x$ | $y$ | $u=ax+b$ | $v=cy+d$ |
| 平均 | $\overline{x}$ | $\overline{y}$ | $\overline{u}=a\overline{x}+b$ | $\overline{v}=c\overline{y}+d$ |
| 分散 | $S_{x}^{2}$ | $S_{y}^{2}$ | $S_{u}^{2}=a^{2}S_{x}^{2}$ | $S_{v}^{2}=c^{2}S_{y}^{2}$ |
| 標準偏差 | $S_{x}$ | $S_{y}$ | $S_{u}=\vert a \vert S_{x}$ | $S_{v}=\vert c \vert S_{y}$ |
| 共分散 | $S_{xy}$ | $S_{uv}= ac S_{xy}$ | ||
| 相関係数 | $r_{xy}$ | \begin{equation} r_{uv}= \left\{ \begin{aligned} r_{xy} \quad (ac>0) \\ -r_{xy} \quad (ac<0) \end{aligned} \right. \end{equation} | ||
公式を覚えるための3つのポイント
「全部覚えるのは大変……」という人は、最低限以下の3つのルールだけ押さえておきましょう。これで9割の問題に対応できます。
- ポイント①:定数項($+b, +d$)の影響を受けるのは「平均」だけ!分散や標準偏差などの「散らばり具合」や「相関」には、全体をズラす足し算・引き算は影響しません。
- ポイント②:分散は「2乗」、標準偏差は「絶対値」!分散は $S^2$ と書くくらいなので、係数 $a$ も2乗します。標準偏差は分散のルートなので、係数 $a$ に絶対値をつけます。
- ポイント③:相関係数は「$1$ 倍」か「$-1$ 倍」のどちらか!傾きの積 ($ac$) がプラスならそのまま、マイナスなら符号が逆転します。もしわからなくなっても、二択($\pm r_{xy}$)までは絞れます。
なぜ成り立つ?変数変換の公式証明
ここからは「なぜそうなるのか?」を知りたい人向けの証明パートです。定義をしっかり理解しているかどうかの確認にもなります。
※ここでは平均、分散、標準偏差、共分散、相関係数の定義は既知のものとして解説します。

平均の証明 難易度: ★
証明したい式: $\overline{u}=a\overline{x}+b$
$$\begin{eqnarray}
\overline {u} &=& \frac{u_{1}+u_{2}+\cdots +u_{n}}{n} \\
&& \hspace{10pt} u_i=ax_i+b \text{ を代入} \\
&=& \frac{(ax_{1}+b)+(ax_{2}+b)+ \cdots +(ax_{n}+b)}{n} \\
&& \hspace{10pt} aがついている項とbだけでまとめる \\
&=& \frac{a(x_{1}+x_{2}+ \cdots +x_{n})+nb}{n} \\
&=& a \cdot \frac{x_{1}+x_{2}+ \cdots +x_{n}}{n} + \frac{nb}{n} \\
&=& a \overline{x}+b
\end{eqnarray}$$
分散の証明 難易度: ★★★
証明したい式: $S_{u}^{2}=a^{2}S_{x}^{2}$
$$\begin{eqnarray}
S_{u}^{2} &=& \frac{(u_{1} – \overline {u})^2 + \cdots + (u_{n} – \overline {u})^2 }{n} \\
&& \hspace{10pt} u_i=ax_i+b, \overline{u}=a\overline{x}+b \text{ を代入} \\
&=& \frac{{(ax_{1}+b) – (a\overline{x} + b)}^{2} + \cdots +{(ax_{n}+b) – (a\overline{x} + b)}^{2}}{n} \\
&& \hspace{10pt} カッコの中の b が消えることに注目 \\
&=& \frac{(ax_{1} – a\overline{x})^{2} + \cdots +(ax_{n} – a\overline{x} )^{2}}{n} \\
&& \hspace{10pt} a^2 でくくる \\
&=& a^{2} \cdot \frac{(x_{1} – \overline{x})^{2} + \cdots +(x_{n} – \overline{x} )^{2}}{n} \\
&=& a^{2}S_{x}^{2}
\end{eqnarray}$$
標準偏差の証明 難易度: ★
証明したい式: $S_{u}=\vert a \vert S_{x}$
$$\begin{eqnarray}
S_{u} &=& \sqrt{S_{u}^2} \\
&=& \sqrt{a^{2}S_{x}^2} \\
&& \hspace{10pt} \sqrt{A^2}=|A| なので \\
&=& \vert a \vert S_{x}
\end{eqnarray}$$
共分散の証明 難易度: ★★★★★
証明したい式: $S_{uv}= ac S_{xy}$
$$\begin{eqnarray}
S_{uv} &=& \frac{(u_{1} – \overline {u})(v_{1} – \overline {v}) + \cdots + (u_{n} – \overline {u})(v_{n} – \overline {v})}{n} \\
&& \hspace{10pt} 分散のときと同様に定数項 b, d は消えるため \\
&=& \frac{(ax_{1} – a\overline{x})(cy_{1} – c\overline{y}) + \cdots +(ax_{n} – a\overline{x})(cy_{n} – c\overline{y})}{n} \\
&& \hspace{10pt} a と c を外に出す \\
&=& ac \cdot \frac{(x_{1} – \overline{x})(y_{1} – \overline{y}) + \cdots +(x_{n} – \overline{x} )(y_{n} – \overline{y})}{n} \\
&=& acS_{xy}
\end{eqnarray}$$
相関係数の証明 難易度: ★★
証明したい式: $r_{uv} = \pm r_{xy}$
$$\begin{eqnarray}
r_{uv} &=& \frac{S_{uv}}{S_{u}S_{v}} \\
&& \hspace{10pt} 今までの証明結果を代入 \\
&=& \frac{acS_{xy}}{(\vert a \vert S\_{x})(\vert c \vert S\_{y})} \\
&=& \frac{ac}{\vert ac \vert} \cdot \frac{S_{xy}}{S_{x}S_{y}} \\
&=& \frac{ac}{\vert ac \vert} r_{xy}
\end{eqnarray}$$
ここで、$\displaystyle \frac{ac}{\vert ac \vert}$ は、$ac$ が正なら $1$、$ac$ が負なら $-1$ になります。
よって、
\begin{equation}
r_{uv}= \left\{
\begin{aligned}
r_{xy} \quad (ac>0) \\
-r_{xy} \quad (ac<0)
\end{aligned}
\right.
\end{equation}
実践:センター試験過去問(2017年)

実際に過去問を見てみましょう。スキージャンプの得点に関する問題です。
問題設定(要約)
- $X$:飛距離、$D$:飛距離点、$Y$:飛型点
- 変換式:$D = 1.80 \cdot X – 1.80 \cdot 125.0 + 60.0$
- 共分散 $S_{XY}=1$ とする(※仮定)
このとき、分散 $S_D^2$ と 共分散 $S_{DY}$、相関係数の関係を求めます。
【解説】
式が複雑に見えますが、変数変換の形 $D = aX + b$ に当てはめて考えます。
$$D = \mathbf{1.80} X + \underbrace{(- 1.80 \cdot 125.0 + 60.0)}_{定数項 b}$$
重要なのは係数 $a = 1.80$ だけです。
1. [ソ] 分散について
分散の公式 $S_{D}^2 = a^2 S_{X}^2$ より、
$$S_{D}^2 = 1.80^2 S_{X}^2 = \mathbf{3.24} S_{X}^2$$
よって倍率は 3.24 です。
2. [タ] 共分散について
共分散の公式 $S_{DY} = a \cdot 1 \cdot S_{XY}$ ($Y$ は変換していないので係数 $c=1$)より、
$$S_{DY} = 1.80 \cdot 1 \cdot S_{XY} = \mathbf{1.80} S_{XY}$$
よって倍率は 1.80 です。
3. [チ] 相関係数について
$a = 1.80 > 0$ なので、相関係数は変化しません。
よって倍率は 1 です。
まとめ
変数変換の公式は、知っているだけで計算量を大幅にショートカットできる強力な武器です。
- 平均はそのまま代入。
- 分散は係数の2乗倍。
- 標準偏差は係数の絶対値倍。
- 相関係数は符号だけチェック。
時間制限の厳しい共通テストでは、この「知識による時短」が合否を分けます。ぜひこの公式をマスターして、本番で活用してください。



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