【応用確率】ゆがんだコインのギャンブルに勝つ!公平性を崩す「最強戦略」と「公平を作る裏ワザ」

数学ⅠA

確率 $p$ と $q$ を知れば勝てる!ゆがんだコインのギャンブル攻略法と公平化の数学

以前の記事「【高校数学】ゆがんだコインのギャンブルは公平か?確率と期待値で判定してみた」で、表と裏の出る確率が偏った「ゆがんだコイン」を使ったギャンブルは、あなたがその歪みを知らなければ、数学的に公平になるという意外な結論にたどり着きました。

なぜなら、あなたが表裏をランダムに選ぶ限り、コインの偏り($p$ と $q$)が相殺され、的中確率は常に $\displaystyle \frac{1}{2}$ になるからです。この状態は、「無知の対称性(Symmetry of Ignorance)」によってかろうじて保たれた均衡でした。

しかし、もしあなたがその均衡を破る情報を手に入れたらどうなるでしょうか?

今回の発展編では、その「歪み」を武器に変えて、胴元に勝つための最強戦略を考察します。さらに、ノイマンという一人の天才が、歪んだ道具から完璧な公平さを生み出す驚きの方法もご紹介します。

情報の非対称性、そして確率論の奥深さを見ていきましょう。

発展問題:もし「歪み」に気づいてしまったら?

もしあなたが何度もコイン投げを見ているうちに、「あれ? 明らかに表の方が多く出ていないか?」と気づいてしまったらどうなるでしょうか。

ここで数学的な景色が一変します。

~ 発 展 問 題 ~
コインは実は「表がでる確率 $p=0.7$」「裏がでる確率 $q=0.3$」と歪んでいました。
あなたは観察の結果、その傾向(表が出やすいこと)に気づきました。
この時、あなたの戦略と期待値はどう変わるでしょうか?

解説:情報を得た後の戦略

歪みを知らない時は、あなたは表と裏をランダム($\displaystyle \frac{1}{2}$ずつ)に選んでいました。
しかし、「表が出やすい($p > 0.5$)」と知った今、合理的な戦略は「常に表に賭け続ける」ことです。

この場合の期待値を計算してみましょう。

  • あなたの予想: 常に「表」(確率は100%)
  • 実際に表が出る確率: $0.7$
  • 実際に裏が出る確率: $0.3$

■ 戦略を変えた後の期待値
$$0.7 \times 200\text{円} + 0.3 \times 0\text{円} = 140\text{円}$$

なんと、期待値は140円に跳ね上がりました。
賭け金は100円ですから、この勝負を続ければ続けるほど、あなたは平均して1回あたり40円の利益を得ることになります。

数学的な結論

先ほどの「公平」という結論は、「お互いに歪みを知らない」という「無知の対称性」の上で成り立っていました。
一方が情報を手に入れ、確率の歪みを利用した戦略(常に確率の高い方に賭ける)を取った瞬間、公平性は崩れ、情報をあばいた側が圧倒的に有利になるのです。


(コラム)歪んだコインで「完全な公平」を作る方法

最後に、有名な数学のトリビアを紹介しましょう。
この「歪んだコイン」を使って、完全に公平(確率 $\displaystyle \frac{1}{2}$)な賭けをする方法はあるでしょうか?

実は、天才数学者ジョン・フォン・ノイマンが考案した方法があります。
それは、「コインを2回投げる」ことです。

歪んだコインの表が出る確率を $p$、裏が出る確率を $q$ とします。
コインを2回投げた時の結果は、以下の4パターンです。

  1. 表・表 :確率 $p \times p = p^2$
  2. 裏・裏 :確率 $q \times q = q^2$
  3. 表・裏 :確率 $p \times q = pq$
  4. 裏・表 :確率 $q \times p = qp$

ここで、3番目と4番目に注目してください。
掛け算の順序を変えても答えは同じなので、$pq$ と $qp$ は全く同じ値(同じ確率)になります。

ノイマンのルール

これを利用して、以下のようにルールを決めます。

  • 「表・裏」が出たら: あなたの勝ち
  • 「裏・表」が出たら: 胴元の勝ち
  • 「表・表」か「裏・裏」が出たら: 勝負なし(もう一度2回投げ直す)

こうすれば、コインがどれだけ歪んでいようとも($p$と$q$がどんな値でも)、決着がつく時は必ず確率が等しくなり、完全に公平なコイントスを実現できます。

「歪んだ道具でも、使い方次第で公平にできる」。
これもまた、確率論の面白いところですね。

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