確率の問題を解いていて条件付き確率の問題,特に原因の確率の問題で悩んでしまう人は多いのではないでしょうか。今回はそんな悩んでしまう人のために具体的に考えやすくする方法(多少強引な方法)を解説したいと思います。
不良品がA工場の製品である確率
例題
A工場で製品300個,B工場で400個混ぜて出荷した。A工場の製品には不良品が2%,B工場の製品には不良品が1%含まれている。出荷した700個から取り出した1個の製品が不良品のとき、それがA工場で作られた製品である確率を求めなさい。
考え方・解説
普通の確率はそこそこ解けるのに,条件付き確率になると難しく感じる人のほとんどは、確率の定義をしっかり理解していることが結構多い。
事象Aが起こる確率を$P(A)$と表すと$$P(A)=\frac{Aが起こる通り数}{全体の通り数}$$になることをきちん知っている人が陥りやすいです。ここでいう全体の通り数というのはサイコロを1個投げるのであれば6通り,コインを3枚投げるのであれば8通り,袋の中の9個から1個の玉を引くときは9通りのことを指す。なので、全体の通り数はほとんど慣れ親しんだ値を使うので,安心して求めることができる。(サイコロを2個投げるのに全体の通り数が29通りになったら間違っていることにすぐに気が付く)しかし,条件付き確率を求める場合はこの全体の通り数が問題によっていろいろ変わる。しかも,サイコロを2個投げる試行の問題でも条件付き確率ではこの全体の通り数はさまざまな値をとる。つまり,とある問題文では29通りになったり,異なる問題文では23通りになったりするということである。
結論 条件付確率では全体の通り数が変わる(いつもと異なる値をとる)
では,問題文のどこに全体の通り数が書いてあるのか。それは問題文の「〇〇のとき」の,○○の部分である。例題だと青マーカーの「不良品のとき」の不良品のところである。つまり不良品の個数がこの条件付き確率を求める際の全体の通り数になる。(700個というのはこの問題での全体の通り数ではありません)では解答にいきましょう。
解答
不良品の個数はA工場からは $300\times0.02=6$ 個であり,B工場からは $400\times0.01=4$ 個である。つまり,不良品は全部で $6+4=10$ 個である。これがこの問題の全体の通り数となる。次は分子のところAが起こる通り数であるが,条件付き確率では分子も注意が必要である。分子はA工場の製品は300個あるから300通りとしてはいけない。分子のAが起こる通り数は,「不良品の中で」A工場の製品の個数になる。つまり先ほど求めた,6個になる。したがって,$$\frac{6}{10}=\frac{3}{5}$$になる。
まとめ
いかがでしたか。この問題くらいの難易度なら大丈夫だと思っていた人も全体の個数を考えることによって求める方法を使って条件付き確率を解く人はすくないのではと思います。次回はもう少し難易度の高い原因の確率の問題を出題したいと思いますので,お楽しみに。
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