高校生が常用対数表を使う機会というのはたいていの場合,「桁数を求める問題」や「小数点以下で0以外の値が現れるのは小数第何位か求める問題」がほとんどである。なので、それ以外用途で常用対数表を使うことはほとんどないのではないか。そこで今回はそんな影の薄い常用対数表を使う計算で桁数や小数第何位かの問題以外の問題を解説していこう。
常用対数とは
そもそも常用対数とは,対数(log)の底が10であるもののことである。例をあげると

対数の性質
①
②
この二つの性質はこのあとの例題を考えるうえで重要になるので紹介した。
例題
次のおおよその値を常用対数表を用いて求めなさい。
(1)
(2)
(3)
解答
どの値も実際に累乗の計算をするのは酷である。なので,常用対数表を用いておおよその値ではあるが求めてみたいと思う。大学入学共通テストで選択問題として問われる可能性はあるが国立大学2次試験や私立大学入試でこのような問題が出題される可能性はほぼ0だと思うが,ぜひ考えてみてほしい。

(1)
(2)
常用対数表には真数部分が1以上10未満の値しかない.したがって,
(3)
(2)と同様に,真数部分が1以上10未満ではないので常用対数をとったあとに注意する。
ポイント
これらの計算においてつまずきやすいポイントは常用対数をとって具体的な値を求めた後に整数部分と小数部分(小数部分は正の数)に分けるというところだ。ここさえしっかり押さえておけば難しくないと思う。
まとめ
対数の数値計算は大学入試からみてあまり重要視されていないように思える。しかし,「対数は天文学者の寿命を2倍にした」なんて言葉があるように,今までは巨大な数の計算を地道に四則演算していたものを対数を使うことにより簡易的に計算できるようになった。この素晴らしさを味わうことができれば幸いです。

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