【高校1年生・受験生必見!この公式って覚える必要あるの?】コンビネーションの公式(二項係数)

数学ⅠA

$$ \displaystyle {}_n C_k = \frac{n!}{k! (n-k)!} $$

この公式(二項係数の公式)を見たことがある学生はどれほどいるだろうか。見たことはあっても使ったことのある学生は少ない。$\displaystyle {}_n C_k$ の読み方や意味については高校数学Aの「場合と数と確率」の単元で学習する。しかし,計算方法を右辺のように行う学生は少ないのではないだろうか。ほとんどの学生はおそらく次のように計算するだろう。

$$\begin{eqnarray}\displaystyle {}_{10} \mathrm{C}_3 &=& \frac{10・9・8}{1・2・3} \\ &=& 120\end{eqnarray}$$つまり$$\begin{eqnarray}\displaystyle {}_{10} \mathrm{C}_3 &=& \frac{10!}{3!7!} \\ &=& \frac{\cancel{1・2・3・4・5・6・7}・8・9・10}{1・2・3×\cancel{1・2・3・4・5・6・7}} \\ &=& \frac{8・9・10}{1・2・3} \\ &=&120\end{eqnarray}$$のように計算する学生は少ないというか,おそらくいないかもしれない。ほとんどの学生は$\displaystyle {}_{10} \mathrm{C}_3$を見たときは頭の中で次のように考えるであろう。$\mathrm{C}$の右下が3なので,分母に1から3つ数字を増やすので$1・2・3$ になり,$\mathrm{C}$の左下が10なので分子に最初10を書き,そこから分母にそろえる形で3つ数字を減らすので$10・9・8$ になる。このやり方は間違いではないしむしろ,問題を早く解くうえで重要である。わざわざ一番上の公式を使って解くのは,共通テストなどの時間に追われる試験においては致命的である。では,なぜ一番上の公式はどのようなときに使うのか紹介する前に、今まで学んだ知識からコンビネーションの公式を導出してみよう。次のことを考えて一般化してみる。

コンビネーションの公式の導出

$$\displaystyle {}_{10} \mathrm{C}_3 = \frac{10・9・8}{1・2・3}$$であるが,ここで次のように変形してみる。

$$\begin{eqnarray}\displaystyle {}_{10} \mathrm{C}_3 &=& \frac{10・9・8}{1・2・3} \hspace{20pt}1~7までの積を分母分子に付け加える\\ &=& \frac{10・9・8×(7・6・5・4・3・2・1)}{1・2・3×(7・6・5・4・3・2・1)} \\ &=& \frac{1・2・3・4・5・6・7・8・9・10}{1・2・3×1・2・3・4・5・6・7} \\ &=& \frac{10!}{3!7!}\end{eqnarray}$$分子には$C$の左下の数字10があるので$10!$,分母には$C$の右下に数字の3があるので$3!$がくるのは難しくないだろう。ここでは残りの分母に$7!$が出てきた理由を考えてみよう。これはなぜ,分母分子に1~7までの積を付け加えたのかを考えると分かりやすい。それは分子10・9・8に1~7までの積が付けばちょうど1~10までの積になり$10!$と簡潔に書き表すことができるからである。つぎの疑問はなぜ7なのか,それは分母に書かれた数字が10から3つ下げたので1まで書きたければあと何個書けばいいかを考えればよいのである。もちろん,その個数は$10-3=7$である。よって,$$\displaystyle {}_{10} \mathrm{C}_3 = \frac{10!}{3!(10-3)!}$$となるのだ。

そして,この考えを使えば公式を自分で導くことも可能だろう。

コンビネーションの公式の証明

$$ \displaystyle {}_n C_k = \frac{n!}{k! (n-k)!}  を証明せよ.$$ 

証明

$$\begin{split} (左辺) &= \displaystyle {}_n \mathrm{C}_k \hspace{50pt}(↓分子にはk個の数字がある)\\ &= \frac{n×(n-1)×(n-2)×・・・×(n-(k-1))}{1×2×3×・・・×k}\\ \\ &\hspace{50pt}分母分子に1~(n-k)までの積を付ける\\ \\ &= \frac{n×(n-1)×(n-2)×・・・×(n-(k-1))×(1×2×3×・・・×(n-k))}{1×2×3×・・・×k×(1×2×3×・・・×(n-k))}\\ \\ &\hspace{50pt}分子の積の順番を並び替えると1~\,nまでの積になっているので\\ \\ &= \frac{1×2×3×・・・×(n-k)×(n-k+1)×・・・×n}{1×2×3×・・・×k×(1×2×3×・・・×(n-k))} \\ &= \frac{n!}{k! (n-k)!}\\ &=(右辺)\end{split}$$

では受験生において,一番上の公式をどのような場面で使うのであろうか。次の例題を解いてみよう。

コンビネーションの公式を用いる例題

例題

$$k \displaystyle {}_n \mathrm{C}_k=n \displaystyle {}_{n-1} \mathrm{C}_{k-1} を証明せよ.$$

証明問題を解くために覚えるのかというとそうではない。確かに証明問題で出てくる可能性が高いのではあるが,どちらかというと具体的な数値ではなく文字 ($n$や$k$) で書かれた問題を解くのには必須なのである。ちなみに,証明は次のとおりである。

証明

$$\begin{split} (左辺) &= k \displaystyle {}_n \mathrm{C}_k \\&= k\frac{n!}{k!(n-k)!} \\&= \cancel{k}\frac{n!}{(1×2×3×・・・×(k-2)×(k-1)×\cancel{k})×(n-k)!}  \\ &=\frac{n!}{(k-1)!(n-k)!}\\ \\ (右辺) &= n \displaystyle {}_{n-1} \mathrm{C}_{k-1} \\&= n\frac{(n-1)!}{(k-1)!((n-1)-(k-1))!} \\&= n\frac{1×2×3×・・・×(n-1)}{(k-1)!(n-k))!} \\ &= \frac{1×2×3×・・・×(n-1)×n}{(k-1)!(n-k)!}\hspace{20pt}(先頭のnを分子の一番後ろへ)\\&= \frac{n!}{(k-1)!(n-k)!}\end{split}$$

よって(左辺)=(右辺)より示された.

上では例題と書いたが,実際は二項係数の性質として紹介している参考書もあるだろう。

では,最後に実際の入試問題を一つ紹介します。

$n$を正の整数とする.$n>1$のとき,次の式をみたす$n$の値を求めよ。$$\displaystyle {}_{n+1} \mathrm{C}_{n-2}+\displaystyle {}_{n+1} \mathrm{C}_{n-1}+\displaystyle {}_{n+1} \mathrm{C}_{n}=25$$

(08 富山県大)

答えをぜひ,コメントに書いてみてください。

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