きょうだいの確率【男の子がいる場合はどうなるの?】

数学ⅠA

もうすでに,使うふるされた話題なのかもしれないがいまだに討論の議題に上がる問題がある。

問題

とある家庭に二人の子どもがいる。この二人のうち一人は男の子であることが分かっているとき,もうひとりの子どもが男の子である確率を求めなさい。ただし,男の子・女の子が生まれる確率はそれぞれ$\frac{1}{2}$ずつである。

この問題の正解は$\frac{1}{3}$である。しかし,$\frac{1}{2}$と答える人は実に多い。$\frac{1}{2}$と答える人の主張は次の通りだ。

男の子・女の子が生まれる確率はそれぞれ$\frac{1}{2}$ずつなのだから,もう一人のきょうだいだって男の子である確率は$\frac{1}{2}$である。

この誤解はどこからくるのかというと,「男の子・女の子が生まれる確率はそれぞれ$\frac{1}{2}$ずつ」=「どんな場合であっても確率は変わらない」と思っているのである。ここで重要なのは確率は情報(状況)によって変化するということである。そのことは条件付き確率で詳しく解説しているのでぜひこちらの記事を見てみてほしい。「やっぱり面白い条件付き確率【大学入試でも頻出!?現在の結果で過去の確率が変わる】」「【原因の確率】あの病気にかかっている確率は?

考え方

この問題を解くカギは「同様に確からしい」ことに注意して図を書いて考えてみることである。ここで「同様に確からしい」とはということについて簡単に説明する。

「同様に確からしい」とは

起こる確率が同じもののことと考えてくれれば良い。例を挙げると

10本のくじがあるその中には当たり2本,ハズレが8本入ってる。そしてそのくじには1つ1つに番号が次のように振ってある「当たり1」「当たり2」「ハズレ1」「ハズレ2」・・・「ハズレ8」。このとき,くじ10本のうち「当たり1」「当たり2」「ハズレ1」「ハズレ2」・・・「ハズレ8」の1本1本を引く確率はすべて等しい($\frac{1}{10}$)ので「くじを1本1本それぞれを引き確率」で考えれば同様に確からしい。しかし「当たりを引くかハズレを引くか」で考えると「当たりを引く確率」$\neq$「ハズレを引く確率」なので「当たりを引くかハズレを引くか」は同様に確からしいとは言えないとなる。

同様に確からしくなるように分解すると考えやすい

では、同様に確からしいものに分解するとなぜ考えやすくなるのかというと,数えるだけで確率を求めることができてしまうということである。例としてサイコロを取り上げてみる。

サイコロは1~6の目がある。そして,それぞれの目が出る確率は「同様に確からしい」なので,確率の定義である$$P(A)=\frac{Aが起こる通り数}{全体の通り数}$$を用いることができる。1の目が出る確率は「1の目が出る通り数」は1通り。「全体の通り数」は1~6あるので6通り。よって$\frac{1}{6}$となる。数えるだけなので考えやすいのだ。

問題の解答

まず,どのようにして「同様に確からしい」ものを考えるのかというと,問題文の「二人の子どもがいる」と「男の子・女の子が生まれる確率はそれぞれ$\frac{1}{2}$ずつ」から次のように同様に確からしいものを作ることができる。

二人きょうだいのパターン

二人きょうだいであるので,上の4パターン「兄・弟」「兄・妹」「姉・弟」「姉・妹」がある。そして,すべてが「同様に確からしい」のである。ここで,二人のうち一人は男の子と分かっているので「姉・妹」となるパターンを除くことになる。すると,すべての通り数は「兄・弟」「兄・妹」「姉・弟」の3通りである。そして,一人が男の子でもう一人も男の子になっているパターンは「兄・弟」の1通りのみであるので,答えは$\frac{1}{3}$となる。

まとめ

条件付き確率は全事象を考えることが重要である。そして,その全事象を「同様に確からしい」ものに分けることによって非常に簡単に求めることができるということを覚えておいてほしい。

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