ゆがんだコイン問題【公平でないギャンブル!?】

数学ⅠA

ギャンブルとはほとんどの場合(というかすべて)胴元が勝つようにできているので,賭ける側は負けることが多い。なので,ギャンブルの場合は公平ということはほとんどない。そこで今回はギャンブルとは少し異なるが高校数学ではあまり扱わないコイン投げの問題を考えていこう。

ゆがんだコイン問題

ゆがんだコインとは表と裏の出る確率が12ずつではないコインのことである。つまり,どちらかに偏ってでてしまうのである。さて、こんなコインを使って次のような問題を考えてみよう。

問題

表と裏の出る確率が12ずつではないコイン投げをして次のようなギャンブルをする。賭け金は100円。賭ける側が表か裏の出る方を予想し,当てたら賭け金を200円を受け取り,外れたら賭け金没収になる。さて,このギャンブルは公平であるか。また公平でなければ胴元と賭ける側のどちらが有利か。また賭ける側はこのコインの表と裏の出るそれぞれの確率を知らないとする。

さて,この問題を考えるポイントは期待値が,コインが歪んでいるためいつもの期待値計算が複雑になりそうだと思います。なので,期待値を計算する前にもしこのコイン投げで使用されるコインがゆがみのないコインだった場合を考えてみましょう。

ゆがみのないコインだった場合の期待値

ゆがみのないコインならば表と裏の出る確率はそれぞれ12ずつなので期待値を計算するのは容易です。表に賭けた場合

12×200+12×0=100

裏に賭けた場合

12×0+12×200=100

したがって表に賭けても,裏に賭けても期待値は100円なので賭け金と等しい。つまり公平なギャンブルといってもよいと思います。この賭け方は表も裏もでる確率が12ずつなので言い当てることができる確率も12なのが理解できると思います。よって重要なことは,表と裏になることを言い当てる確率が12ずつならば公平なギャンブルになることです。では,本題のゆがんだコインの場合はどうなのでしょう。

ゆがんだコインの表裏を言い当てる確率

さて,ゆがんだコインの場合です。今回は表のでる確率をpとし,裏のでる確率をqとします。つまり,p+q=1です。では,表と裏を言い当てることのできる確率を求めましょう。

言い当てることとは「表と予想し表が出る」事象と「裏と予想し裏が出る」事象の和事象の確率である。そして,これら二つの事象は互いに素である。また,賭ける側はゆがんだコインの表と裏のどちらが出やすいかを知らないので,表と裏に賭ける確率をそれぞれ12とする。(コインの表と裏の出る確率ではないので注意)したがって,

12×p+12×q=12(p+q)=12×1=12

よって,表と裏を言い当てることのできる確率は12である。

問題の答え

表裏を言い当てる確率が12なので,このギャンブルの期待値は

12×200+12×0=100

となるから,賭け金と期待値が等しいので公平なギャンブルといえる。

まとめ

このようなギャンブルで重要なことは歪んだものを用いてもそれを言い当てる確率が12ならば,公平になるのである。もし,胴元が歪んだコインであることを隠して「表ならば2倍,裏ならば没収」という表裏の選択する余地がないものは注意が必要ですね。

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