タイトルで釣ったわけではありませんが、実はこれにはとある条件があります。それを聞いて、「えーっ」と思っている人が多いかと思いますが、私ならやれそうと思う人もいるかと思います。ぜひ最後まで読んでみてください。かなり長い内容なので休み休み読んでもらえると嬉しいです。そもそも日本では賭博は禁止されています。しかし、海外ではカジノなどギャンブルが一般的に行われている国は少なくありません。そこで、今回はそんな海外に行ってギャンブルをしたときに絶対に負けない方法をお伝えしていこうと思います。
どのギャンブルで行うのか?
では、どんなギャンブルをすれば良いのか。それは、コイン投げで表が出たら賭け金を2倍に裏が出たら賭け金は没収されるようなギャンブルです。つまり、$\frac{1}{2}$で賭け金が2倍に、$\frac{1}{2}$で賭け金が0になるようなものであればなんでも良いです。実際にこのようなギャンブルはあるのかといわれるとないでしょう。それは期待値が0になるのでギャンブルの胴元が儲からないからです。期待値に関しては「確率の小話【ギャンブルの面白さとは】」をご覧ください。しかし、公平でないギャンブルでも公平に近いものがあります。それはルーレットです。
ルーレットの賭け方
ルーレットとは、ディーラーの投げた球がルーレットのどのポケットに入るかを予想するギャンブルです。賭け方にはいろいろある。いくつか例をあげると
・ピンポイントにどのポケットに入るかを予想する(この賭け方が一番当たらないが当たっ た時のリターンは36倍にもなる)
赤に入ることを予想する(赤は18か所あるので、比較的当たりやすい約$\frac{1}{2}$で当たる。実際は$\frac{1}{2}$よりちょっと低く$\frac{18}{38}$である。リターンは2倍である)
偶数に入ることを予想する(これも赤に入ると同様である)
数字の1と2の間にチップを置くつまり、1か2に入ることを予想する(当たる確率はピンポイントに予想するより2倍高い確率だが、リターンは半分の18倍である)
まだまだ他にも賭け方があるが、ここまでで割愛する。本題に戻るが、上の例から今回のギャンブルは赤に入るか黒に入るかの賭けをすることでほぼほぼ負けない方法があることを紹介しよう。
賭け金倍々法
この名称は正式なものではありません。私が勝手に命名したものですのであしからず。(世間ではマルチンゲール法と呼ばれていたりする)では、さっそくどのように賭けるのかというと、「当たるまで最初の賭け金を倍にどんどん増やしていくというものだ」。いわゆる倍プッシュみたいなものである。つまり、当たれば賭け金が2倍に、はずれれば賭け金はなくなってしまうというものです。
分かりやすく、具体例をあげるとこのようになる。
1. 最初に100円を賭ける →(当てた場合)→ 200円獲得し終了
↓(外れた場合)↓
2. $100円\times2=200円$を賭ける →(当てた場合)→ 400円獲得して終了
↓(外れた場合)↓
3. $200円\times2=400円$を賭ける →(当てた場合)→ 800円獲得して終了
↓(外れた場合)↓
4. $400円\times2=800円$を賭ける →(当てた場合)→ 1600円獲得して終了
↓(外れた場合)↓
4. $800円\times2=1600円$を賭ける →(当てた場合)→ 3200円獲得して終了
以後、これを繰り返す・・・・・・
これをするだけで確実に儲けることができるのだ。具体的に1回目と2回目と3回目で終了したときの儲けを計算してみよう。儲け額は以下の式で求めることができる。
$$(儲け額)=(払い戻された金額)-(賭け金の総額)$$
具体的考察
1回目で終了した場合
賭け金の総額は100円であり、払い戻し金額は200円なので $200-100=100$ つまり100円の儲けとなる。
2回目で終了した場合
賭け金の総額は1回目と2回目の合計である$100+200=300$円であり、払い戻し金額は400円なので、 $400-300=100$ つまり100円の儲けとなる。
3回目で終了した場合
賭け金の総額は1回目と2回目と3回目の合計である$100+200+400=700$円であり、払い戻し金額は800円なので、 $800-700=100$ つまり100円の儲けとなる。
具体的考察まとめ
3回程度しか計算していませんがここまでで、とある規則性が見えてきたのではないでしょうか。それは、必ず100円の儲けがでるということです。つまり、この賭け方をしていれば、$\frac{1}{2}$で当たるギャンブルを当てるまでやり続けるだけで儲けることができるのではということなのです。しかし、本当に4回目以降で終了した場合で儲けが出るのか疑問に思う方がいると思いますので、次は一般化して計算してみましょう。
儲けることができるのか
実際にここでは高校数学の等比数列と等比数列の和の知識を使います。科目は数学Bの知識です。
n回目で終了した場合
かなりの分量になるのでひとつずつ丁寧に見ていこう
賭け金の総額の計算
賭け金の総額は1回目と2回目と・・・とn回目の合計である。ここでn回目の賭け金はどう考えるのかというと、最初の金額100円から2を何回掛けたのかを考えればよい。
〇〇回目 | ○○回目の賭け金 | 1回目から「2」を掛けた回数 |
1回目 | $100=100$ | 0回 |
2回目 | $200=100\times2$ | 1回 |
3回目 | $400=100\times2\times2$ | 2回 |
4回目 | $800=100\times2\times2\times2$ | 3回 |
・・・ | ・・・ | ・・・ |
n回目 | $???=100\times2\times2\times・・・\times2$ | n-1回 |
つまりn回目は100に2をn-1回掛けたので$100・2^{n-1}$となる。このことから、n回目までの賭け金の総額は次の式で表すことができる。$$100+100・2^1+・・・+100・2^{n-1}$$この値の求め方は等差数列の和の公式を参照してほしい。この値は次のようになる。$$100・2^n-100$$したがって、賭け金の総額は$100・2^n-100円$である。
払い戻し金額の計算
払い戻し金額は難しくなく求めることができる。払い戻し金額は賭け金を2倍すればよい。したがって、n回目の賭け金は先ほど賭け金の総額を計算するところで求めている。それは$100・2^{n-1}$円であったので、n回目で当たった場合の払い戻し金額は$$100・2^{n-1}\times2=100・2^n$$したがって、払い戻し金額は$100・2^n円$である。
儲け額の計算
ここまでくることができれば残りの計算は楽である。払い戻し金額から賭け金の総額を引けばよいので$$(100・2^n)-(100・2^n-100)=100$$つまり、儲け額は100円となる。
賭け金倍々法の結論
一般化した場合でも100円儲けることができるので、この方法でギャンブルを行えば、ほぼ負けずに儲けることができるというわけだ。ここまで聞くと、「ほぼ負けない」ではなく「必ず勝てる」のではと思う人もいると思います。それはとあることを考慮していない場合、このギャンブルは必ず勝てるギャンブルになります。ではとあることとは何なのでしょうか。
元手の資産はいくらもっているのか
さて、ここで本来考慮しないといけないのは資産です。この問題を解決できれば、この方法で誰でも必ず勝つことができます。ギャンブルをする上で賭けるお金は先に賭ける側が出します。それくらい知っているともいますが、このことがこの方法を実行する上で問題なのです。負けが続くと賭ける金額がどんどん増えていきます。そのとき、自分の資金が尽きてしまっては賭けることができないわけです。ちなみに、各回まで賭けをした際に必要な資金は以下のとおりです。また、○○回目で終了する確率もあわせて載せておきます。ちなみに、当たる確率、外れる確率がそれぞれ$\frac{1}{2}$の場合である。
○○回目で終了 | 賭け金の総額 | 〇〇回目まで おこなう確率 | ○○回目で終了 | 賭け金の総額 | 〇〇回目まで おこなう確率 | |
1回目 | 100 | $\frac{1}{2}$ | 11回目 | 204700 | $\frac{1}{2048}$ | |
2回目 | 300 | $\frac{1}{4}$ | 12回目 | 409500 | $\frac{1}{4096}$ | |
3回目 | 700 | $\frac{1}{8}$ | 13回目 | 819100 | $\frac{1}{8192}$ | |
4回目 | 1500 | $\frac{1}{16}$ | 14回目 | 1638300 | $\frac{1}{16384}$ | |
5回目 | 3100 | $\frac{1}{32}$ | 15回目 | 3276700 | $\frac{1}{32768}$ | |
6回目 | 6300 | $\frac{1}{64}$ | 16回目 | 6553500 | $\frac{1}{65536}$ | |
7回目 | 12700 | $\frac{1}{128}$ | 17回目 | 13107100 | $\frac{1}{131072}$ | |
8回目 | 25500 | $\frac{1}{256}$ | 18回目 | 26214300 | $\frac{1}{262144}$ | |
9回目 | 51100 | $\frac{1}{512}$ | 19回目 | 52428700 | $\frac{1}{524288}$ | |
10回目 | 102300 | $\frac{1}{1024}$ | 20回目 | 104857500 | $\frac{1}{1048576}$ |
上の表の見方としては、例えば10回目で終了する。つまり、9回連続で外してしまい、10回目でようやく当たったというパターンは賭け金の総額が102300円である。また、9回連続で外して10回目で当たる確率は$\frac{1}{1024}$である。なのでこのギャンブルをしてこんなことが起こることはほとんどないことが分かる。確率上1024回に1回は起こるということである。そんなことほとんどないから安心と思った方、もしそうなってしまったと考えてみてください。そこでやめてしまった場合はたかが100円儲けるために、10万円以上のお金を失う可能性があるんです。また、20回目まで行う確率は$\frac{1}{1048576}$なので、1048576回に1回は起こることである。この1048576回はこのギャンブルを毎日10回やっても287年以上かかる。ほとんどの人が経験することなく一生を終えるだろうが、もしこんな低い確率のことが起こってしまった場合、100円儲けようとするために、10億円を失うという馬鹿げたことになってしまうのだ。もちろんこれ以上の金額を賭けていけば良いだ。しかし、資金は無限ではないので尽きたとき大金を失うということになる。
結論
この「賭け金倍々法」の問題点は100円という少額をほぼ絶対に儲けるためには莫大な資金が必要であるということだ。世界一の大富豪のイーロン・マスク氏(テスラのCEO、スペースXのCEO)が約30兆円であるので、計算上は38回目までに勝てれば儲けることができるが、もし負けたら30兆円が失われる。もちろん、そんな確率はほとんど起きないがリターンが100円しかないのにこれをするだろうか。
まとめ
この「賭け金倍々法」は資金を減らす確率はほとんど0である。しかし、起こる確率はほとんど0であって正確に0ではないので、もし起こってしまった場合は莫大な資産を失う危険性がある賭け方である。銀行の預金みたいに、微々たる利息は増えるが預金がすべて失われることはほぼない。しかし、銀行の倒産(ペイオフは考えない)などで資金が0なることだってある。貯金が大好きな日本人にはこの方法の賭け方はあっているのかもしれない。ただ、ここでこの方法を使うか使わないかはあなた次第です。したがって、私は責任を負いませんのでご了承ください。
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