じゃんけんの確率【条件付き確率の落とし穴!?】

数学ⅠA

確率の問題を解いているじゃんけんの問題によく出くわすと思います。そこで今回は私がはまった落とし穴の問題を紹介したいと思います。

私みたいに確率に中途半端に自信を持っている人がはまってしまう問題ですのでぜひ考えてみてください。

問題

Aさん,Bさんを含む5人でじゃんけんをする.このとき次の確率を求めなさい.

(1) 勝負がつく確率を求めなさい.

(2) Aが勝ち,Bが負ける確率を求めなさい.

さて,問題集レベルの問題難易度なので,数分で解いてしまう人も多いともいます。ここで私のやってしまった間違い解答を紹介したいともいます。どこが間違いなのか考えてみてください。

間違い解答

(1)

5人でじゃんけんをした場合の手の出し方は $3^5$ 通り.

勝負がつくのは全員の手の出し方が2種類のときである.全員がグーとチョキの時は $2^5$ 通り.しかし,この中に全員グーと全員チョキの場合も含まれるのでそれを除くと $2^5-2$ 通り.  よって,全員がチョキとパーと全員がパーとグーのときも同様に考えると $3・(2^5-2)$ 通り.

したがって,$$\begin{split}\frac{3(2^5-2)}{3^5}&=\frac{3・30}{3^5}\\&=\frac{10}{3^3}\\&=\frac{10}{27}\end{split}$$

(2)

じゃんけんで勝つ負ける確率は全員同じなので,勝負がついた時のAさんとBさんの勝ち負けの確率は次の表のようになる.

Aが勝つAが負ける
Bが勝つ$\frac{1}{4}$$\frac{1}{4}$
Bが負ける$\frac{1}{4}$$\frac{1}{4}$

表の見方について.左上はAもBも勝つのでC,D,Eの誰かが負けている.右上はAは負けBは勝ちC,D,Eの勝敗は何でも良い.左下はAは勝ちBは負けC,D,Eの勝敗は何でも良い.右下はAもBも負けC,D,Eの誰かが勝っている.

したがって,Aさんが勝ちBさんが負ける確率は確率の乗法定理より$$\frac{10}{27}\times\frac{1}{4}=\frac{5}{54}$$

間違った解答の検証

さて,この解答のどこが間違っているのかというと,(2)の表である.じゃんけんで勝ち負けの確率は全員同じであることは正しい事実ではあるが,AとBの勝ち負けの確率がそれぞれ$\frac{1}{4}$ずつになるとは限らないということである。(じゃんけんする人数によって$\frac{1}{4}$ずつになることもある.何人であればよいかは読者にまかせる.)では上の表をただす。勝負がきまるときの通り数は$3・(2^5-2)=90$通りであることに注意して考える。

Aが勝ちBも勝つ通り数を求める。

AとBがグーを出して残り3人がグーかチョキを出す。通り数は$2^3$通り。しかしこの中に3人ともグーの時も含まれるから$2^3-1$通り。なので,AとBがチョキとパーのときもあるので,$3・(2^3-1)=21$通りとなる。したがって,表を正しく直すと下のようになる。

Aが勝つAが負ける
Bが勝つ$\frac{21}{90}$$\frac{?}{?}$
Bが負ける$\frac{?}{?}$$\frac{?}{?}$

AとBが二人とも負けるのはAとBが勝つ確率と同じなので,$\frac{21}{90}$となる。

Aが勝ちBが負ける確率とAが負けBが勝つ確率は等しいので,全事象の確率は1になるので,$$P(A勝B負)=P(A負B勝)=\frac{1}{2}(1-2\times\frac{21}{90})=\frac{24}{90}$$となるので,表は

Aが勝つAが負ける
Bが勝つ$\frac{21}{90}$$\frac{24}{90}$
Bが負ける$\frac{24}{90}$$\frac{21}{90}$

これが勝負がついた時のAとBの勝敗の確率の表である.

間違った解答の訂正した正しい解答

(1)より勝負がつく確率が$\frac{10}{27}$なので,$$\frac{10}{27}\times\frac{24}{90}=\frac{8}{81}$$

(2)の別解 こちらの方が本解かもしれません

(2) Aが勝ちBが負ける場合を考える。例えばAがグー,Bがチョキのとき,残り3人の手の出し方は$2^3$通り.よって「Aがチョキ,Bがパーのとき」と「Aがパー,Bがグーのとき」のパターンもあるから,Aが勝ちBが負ける場合の数は$3・2^3$通り.なので,$$\begin{split}\frac{3・(2^3)}{3^5}&=\frac{2^3}{3^4}\\&=\frac{8}{81}\end{split}$$

まとめ

今回の自分の失敗は「じゃんけんの勝ち負けの確率は等しい」=「2人とも勝ちや負けを含めても確率は等しい」と思ってしまっていたことである。

感覚と異なる確率は世の中で騙されることの多い事柄であるので,次は間違えないようにしようと心に誓った問題でしたとさ。

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